本学精神保健福祉士養成課程では、卒業生(現在29名)を対象として、年間6回の教育セミナーを実施しています。今年度最後の報告者は、2011年3月に卒業した精神保健福祉士養成課程1期生の三原初穂さん。精神保健福祉士として兵庫県に採用後、単科精神科病院に配属されて経験を積んでいる中堅ソーシャルワーカーです。当日は、地域移行が強化されている医療現場の様子と、日々の相談支援実践における気づきについて、エピソードを交えて語ってくれました。
今回は、参加者全員が卒業生であったこともあり、それぞれが身を置く現場でのソーシャルワーク実践についてのやり取りが、一層深まったように思います。「今なお社会に残る【精神疾患】【精神障害者】【精神科医療】に対する誤解や偏見の解消に向けた、息の長い取り組みの必要性」「(知っているつもりの)無知や誤解への気づきと、真摯に学び続けることの大切さ」をはじめとして、多くのトピックが挙げられました。とりわけ、「医療および福祉サービスへの市場原理の導入と公的責任について、ソーシャルワーカーとしてどう向き合うか」については、引き続き考えていくことが期待されるところです。
発表と質疑の後は、グループスーパービジョンを行いました。「なぜ精神保健福祉士国家資格を取得したのか?」「なぜ精神保健福祉士として就職する道を選んだのか?」、そして「精神保健福祉士として実務に就いた今思うこと」を中心に、全員が思いを分かち合いつつ、それぞれの自己覚知を図りました。
【第12回ソーシャルワーク実践研究会】
日時:3月3日(土)14:00〜17:00
会場:本学 稲盛記念会館 会議室
報告者とテーマ:三原初穂さん(兵庫県立ひょうごこころの医療センター」)
「精神科病院におけるソーシャルワーカーの役割 〜6年間を振り返って〜」
参加者:8名(卒業生7名 教員1名)
【精神保健福祉士とは? 】
1997年に誕生した精神保健福祉領域のソーシャルワーカーの国家資格です。国内では、1940年代後半より精神科病院等に配置され、資格制定以前はPSW(Psychiatric Social Worker)と呼ばれていました。現在、国内ではソーシャルワーカーの国家資格には、主に精神障害のある方の支援を専門とする「精神保健福祉士」と、それ以外の領域の問題を幅広く扱う「社会福祉士」があります。資格の別にかかわらず、いずれもが、「ソーシャルワーク」を実践する専門職である「ソーシャルワーカー」です。
本学では、2008年の精神保健福祉士養成課程開設以降、卒業生のほぼ全員が国家資格を取得して、保健・医療・福祉の現場で活躍しています。
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/nation/psw.html (厚生労働省のHP)
http://ifsw.org(International Federation of Social Work=国際ソーシャルワーカー連盟のHP)
ソーシャルワーカーは他の専門職と同様に、専門知識のアップデートと自身のスキル向上のために、国家資格取得後も学び続けることが求められます。