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日中演劇シンポジウム「しらべとしぐさ」の報告と御礼

[2008年3月5日]
 去る2月16日(土)上京区の金剛能楽堂で、日中演劇シンポジウム「しらべとしぐさ」を開催致しました。寒気厳しき折、参加される方の出足を危惧しておりましたが、開場前から多数の方が来られて開場時間を早めることとなったばかりか、開演15分前にはほぼ満席状態となり、開演後に来られた十数人の方々には、申し訳ないことながら入場をお断りすることになりました。嬉しい悲鳴でもあり、また今後の開催に向けての反省点ともなりました。お断りした方々には、この場をお借りして改めて深くお詫び申し上げます。
 シンポジウムではまず初めに小松教授が崑曲と能楽の関係についての江戸時代以来の学説の概略を説明した上で、今回のシンポジウムの狙いを解説し、続いて能楽と崑曲の「しぐさ」比べを行いました。足運びの特徴や、指や手を使った表現、哀しみや喜びなどの感情表現、馬や船に乗るといった動作の表現などについて、能楽は山崎教授の解説のもとに能楽師山崎芙紗子氏が、崑曲は京都大学の赤松准教授の解説のもとに日本崑劇之友社の前田尚香氏がそれぞれ特徴ある型を披露。ここでまず両者の類似点と相違点についての大よそのポイントをつかんでいただきました。そして崑曲の「しらべ」、楽器の特徴などの解説に続いて、崑曲「牡丹亭」から〈尋夢〉の上演となりました。幻想的な恋の物語が情感豊かに表現されて、そのしなやかな動きと歌唱の美しさは多くの参加者を魅了したようです。3月に南座で坂東玉三郎氏によって、同じ「牡丹亭」〈尋夢〉の公演が行われますが、その観劇の予習になったという方もおられました。
 休憩をはさんで、まず山崎教授が能楽の囃子方4人にインタビューする形で楽器の解説を行いました。笛(能管)、小鼓、大鼓、太鼓とそれぞれ音を出しながら、楽器の材質や音の特徴をわかりやすく話していただきました。そして『源氏物語』と能楽「葵上」の解説に続いて、実演となりました。「葵上」の後半は比較的短いものながら、能楽らしい特徴ある動きがつかみやすく、また囃子のリズムもあらかじめ先に解説されていた通りのもので、わかりやすいものであったと思います。
  そして最後の総合討論に進みました。まず崑曲と能楽が世界無形文化遺産に登録されていることに寄せて、ユネスコの北京事務所代表青島泰之氏がここまでの内容についての感想を交えて挨拶され、続いて在大阪中国総領事館の李哲領事から日中両国の文化交流にとって意義深い催しであるとの祝辞をいただきました。そして国際文化学科の池田教授、佛教大学の野間教授にコメンテーターとして加わっていただき、参加者から出された質問にもお答えしながら、崑曲と能楽それぞれを支えた受容層の問題をはじめ、楽器の種類(能楽では弦楽器を用いないこと)や面の有無、歌いながら舞うことの意味、などといった様々な問題に議論が展開しました。池田教授からは中世の御伽草子の一つ『うたたね草子』と「牡丹亭」〈尋夢〉にストーリーの共通点のあることが指摘されるなど、興味深い問題提起もありました。いずれも直ちに答えが出るものではなく、今後の研究課題となりましたが、改めて日本と中国の古典演劇の比較研究という課題の奥深さとむずかしさを実感することができました。                             
 一昨年に続いて2回目の開催で、今回は実演に比重を置く形を試みました。終了後のアンケートでは、ほぼ全員の方が「大変良かった」、「良かった」と記した上で、今後も伝統文化に関する催しに期待するという思いをこめた感想を寄せて下さいました。会場として京都でも由緒ある舞台である金剛能楽堂で行えたことも、大変御好評をいただいた理由の一つかと思いますが、こうした催しに対して京都府民・京都市民をはじめ一般の方々が高い関心を寄せてくださるということを痛感しました。今後もさまざまに工夫を凝らしながら積極的に取り組んでいきたいと考えております。本当にお寒い中参加された皆様に厚く御礼申し上げて、今回のシンポジウムの報告とさせていただきます。ありがとうございました。 (京都府立大学国中文学会)


超満員となった金剛能楽堂

超満員となった金剛能楽堂

崑曲のしぐさ

崑曲の「しぐさ」

崑曲牡丹亭より尋夢

崑曲『牡丹亭』より「尋夢」

崑曲 牡丹亭より 尋夢

崑曲『牡丹亭』より「尋夢」

能楽 葵上

能楽『葵上』

能楽 葵上

能楽『葵上』

総合討論

総合討論

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