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【学長メッセージ】~2017年度 入学式 式辞~

[2017年4月6日]

創造の舞台が、あなたを待っている

                     2017(平成29)年4月6日 京都府立大学 学長 築山 崇

 

 新入生のみなさん、入学おめでとうございます。みなさんを迎えることは、大学にとって大きな喜びであり、教職員一同心から歓迎します。

 また、京都府の山内副知事様はじめ、公私とも御多忙のところ、ご臨席賜りました多数の来賓の皆様に、厚く御礼申し上げます。

 

新しい舞台・期待の新人

 人生を舞台に例えることがありますが、学部入学生のみなさんにとって大学生活の幕開けは、新しい劇場での初日の舞台にも匹敵するのではないでしょうか。しかも、劇団員も新規メンバーです。ごく一部の人を除いて、顔見知りの友人もいません。少々不安もあるかと思いますが、過去の経験、今までの自分にとらわれることなく、思い切った表現ができる、またとないチャンスがみなさんを待っているのです。

 大学院に進学・入学されたみなさんの場合、多くの人にとって見慣れた大学の風景ですが、みなさん自身は、研究という新しい知的探求の世界の一員となります。他大学から入学された方、社会人として種々の経験を積まれた方もいらっしゃり、知的交流の多彩な展開が大いに期待されるところです。

 

ことばと表現

 舞台という例えでお話ししましたが、演劇、演奏、種々のパフォーマンスには、表現という共通性があり、ことば、メロディーや音色、身体、映像・イメージなどが媒介となって、見る人の感性・知性に届けられるメッセージや思いがそこにあります。

 最近は、インターネットを利用した情報のやり取りが拡がり、みなさんもSNSと呼ばれるコミュニケーション手段を大いに活用されていることと思います。ライン、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムなど次々に新しいツール、ソフトが開発され、情報量は飛躍的に増大しています。

 そのため、スマートフォンなどの通信機器・情報端末に接する時間が長くなることの弊害も種々指摘されています。直接的な対話の減少ということもありますが、ネット上でやり取りされることばや情報の質も気になるところです。

 短い文で、短時間での応答が求められるため、誤解が生じやすく、即答するためのストレスも生まれます。そもそも、思いをすべてことばにすること、ことばから思いを十分に読み取ることは、そう簡単なことではありません。思いはことばにできる、ことばで思いを読み取ることができると単純に考えるのは、むしろ、誤解と心得た方がいいかもしれません。

 とは言え、自分を他者によって認めてもらう、他者の応答によって自分を知るという関係性は、人間という存在にとって本質的な特性と言っても過言ではありません。

 

関係性の迷路からの脱出

 思春期をくぐって青年期にある多くのみなさんは、自己の内面を見つめ、納得のいく自分でありたいという思いを大なり小なり抱いていることと思います。中学、高校時代に友人関係のもつれや、中には「はいじめ」に遭遇して、悩んだり戸惑ったりした経験を持っている人も少なくないと思います。「みんなから自分はどう見られているのか、自分の思いをどのように伝えたらよいのか」など、自分と周囲の人との関係そのものに、強い関心を向け、少しでも心地よい、安心感のもてる関係性を築くことに、大きなエネルギーを割いてきたのではないでしょうか。

 しかし、そのような状態は、いわば関係性の迷路に迷い込でしまい、抜け出せなくなってしまうということになりがちです。そんな時、脱出の糧となるのが、具体的にどのような行動、活動を通して、関係を結んでいくかということです。部活動、つまり、スポーツや音楽・演劇などの活動が、青春の思い出の典型として語られること、あるいは、肯定的な感情を後々まで呼び起こしてくれるのは、創造的な活動を介して互いの親密な関係が培われてきたからに他なりません。

 関係性そのものにだけにとらわれるのではなく、関係の媒介となる活動を豊かに創り出していくこと、そのことに関心を向けていくことが大切であり、大学生活においては、この媒介となる素材を豊富に見出すことができます。まずは、学問の世界、ゼミや研究室での議論や実験・実習。課外活動としてのクラブやサークル活動は言うまでもなく、学外・地域でのボランティア活動、海外への留学など、新しい発見と出会いがあなたを待っています。

 また、近年、大学や大学生に、地域の様々な課題解決に向けた活動への参加を求める声がよく聞かれます。本学でも、地域で活動するサークルが既に生まれており、大学・法人としても、みなさんの地域での活動をこれらからも応援していきたいと考えています。

 大学生だからこそ体験できる多様な活動・関係を介して、豊かなことば、豊かな表現に触れ、鋭い感性、豊かな知性を磨いていってほしいと思います。

 

日常生活に潜む危険に注意

 ここでひとつ、みなさんにぜひ心掛けてほしいことがあります。一昨年末本学で急性アルコール中毒による死亡事故が発生しています。あってはならない悲しい出来事で、本学構成員一同、安全・安心な学生生活を守るという思いを一層強くし、様々な取組を進めているところです。みなさんも生活の中に潜む様々な危険について認識を深めていくようにしてください。

 

京都府立大学の使命
 次に、京都府立大学の社会的使命について、お話したいと思います。

 本学では、大学の目的・あり方の基本を成文化した「理念」とそれに基づく「行動憲章」を二〇〇八年(平成二〇年)に定めています。これらは、ガイダンスで配布された「学生便覧」、あるいは大学ホームページなどに掲載されていますので、詳細はそちらを是非一読いただきたいと思いますが、「理念」では、「京都府立大学は、京都府における知の拠点として、広く人文・社会・自然の諸分野にわたる真理を探究し、教育するとともに、その成果を健康と福祉の向上、産業の振興、文化の継承発展、国際社会の調和ある発展に活かすことを目的とする」と定めています。また、「行動憲章」の前文では、「長い文化的伝統を持つ京都の地において、本学が百十余年にわたって府民に支えられつつ学問の府として活動してきた歴史」に触れ、「地域社会の発展と府民生活の向上、さらには人類の幸福に貢献します」と謳っています。みなさんの学びは、みなさん一人だけのものではなく、多くの府民に支えられた、地域社会にとっての宝でもある、ということを是非心に留めておいていただきたいと思います。

 

地域に学び、地域とともに成長する

本学では、地域の課題をとらえた研究活動が活発に行われていると同時に、学生のみなさんが府内の様々な地域に出かけて、海や森といった自然、地域の特色ある産業などに触れて、体験的に学ぶ機会が京都府や府内市町村、企業や地域団体などの支援・協力によって、豊富に設けられています。

みなさんには、このような公立大学ならではの恵まれた条件を活かして、地域に学び、地域とともに成長していく、アクティブな大学生活を送ってほしいと思います。

 

北山文化環境ゾーンから、次代を拓く学びを

 すでにガイダンスで聞いていただいているように、京都学・歴彩館、植物園、コンサートホールなど魅力的な施設を擁する、北山文化環境ゾーンという恵まれた環境に本学はあります。本学は、規模も小さく、お互いの顔が見える学びのコミュニティーをかたちづくっており、身近な触れ合いのなかで、お互いの人間性を培っていくことができます。これからの時代を拓く学びに最適の場と言っていいでしょう。

 なかでも教養教育は、府立医科大学、京都工芸繊維大学、本学の三大学の学生が一堂に会して学ぶ体制が整えられています。全国でも他に例を見ない新しい教養教育のかたちです。京都の歴史・文化・自然について学ぶ京都学科目、ユネスコの無形文化遺産にも登録された、和食文化について学ぶ、「和食の文化と科学」プログラムなど、京都ならでは、本学ならではの、魅力ある科目群も用意されています。これからの時代そして世界が求める、知性や感性を大いに磨いていただけることと思います。


 結びに、新入生のみなさんへの心からの歓迎と、共に未来を創る熱い思いを添えて、ご列席のみな様のご健勝と益々のご発展をお祈りし、式辞といたします


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