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【学長メッセージ】2018年 年頭にあたって

[2018年1月5日]

2018年 年頭にあたって

2018年 年頭にあたって

                                         学長 築山 崇

 まずは、昨年の楽しい話題から、始めたいと思います。
 昨日のRICEボールでは学生代表チームが健闘していましたが、本学アメフト部のDIVISION2への昇格が、うれしい話題でした。他にも、アーチェリー女子の全国大会優勝もありましたし、野球部の健闘ぶりも耳に入っています。スポーツ以外では、京都地域未来創造センター学生ラジオ部会による放送が10月にスタートしていますが、私も第1回の収録に呼んでいただき、楽しいひと時を過ごすことができました。番組では、毎回、府大・北山の楽しい話題が発信され、「北山ぱーとなーず」の情報発信にも一役買っていただいています。また、大学院生諸君の学会での受賞の増加が顕著で、若手研究者のたまごとしての院生の活躍は目覚ましいものがあります。
 このような若い力の勢いに負けず、私たち教職員の元気も力強く発信していく、そんな新しい年にしたいと思います。

 あらためまして、明けましておめでとうございます。
2018年、今年がどのような年になるのか、全く予測がつかないというのが実感です。2017年も、16年についで、人工知能AI、IoT開発の進展、「消える職業、なくなる仕事」という未来の雇用に関わる話題が目立ちました。この「消える職業、なくなる仕事」という話題は、ご存知のように2013年9月に発表されたオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授らの論文が発端で、日本では、その翌年には雑誌の特集や関連本の出版が相次ぎ、15年には、野村総研(野村総合研究所 NRI)がオズボーン准教授らとの共同研究による、「10~20年後に、日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能になる」という試算も示されています(※) 。
 さらに、昨年は、インターネット、ICT技術の更なる進展による「第4次産業革命」、あるいは、情報社会の次のステージとしての「Society 5.0」時代という用語に示されるように、社会の“革命的”な変化に関する話題がますます大きくなりました。
 昨年秋の総選挙後発足した第5次安倍内閣が年末に閣議決定した、「新しい経済政策パッケージ」も、こうした社会全体の大きな変化を背景にしたものとなっています。
この「パッケージ」の考え方を端的に示しているのが、第3章の「生産性革命」の部分です。「人づくり革命」といった言葉も含め、「未来投資戦略」のもと、日本の潜在的経済成長率の向上と国際競争力の強化が目指されています。人類史に数回程度しかない「革命」が起こっている、あるいは、この革命を成就しないことには、日本の未来はないといった強い調子に満ちたものとなっています。
 「人づくり革命」の部分は、幼児教育から高等教育までの無償化等について、これまでの取組、考え方、具体的内容に触れ、高等教育については、無償化制度に関わって、「支援措置の対象となる大学等の要件」として、実務経験のある教員による科目の配置(年間平均取得単位の1割)、外部人材の理事への任命(2割以上の産業界の外部人材登用)などが謳われ、思わぬ角度から大学改革の細部への言及がなされており、注意が必要です。
その他に、イノベーション促進基盤の抜本的強化、若手研究者の活躍促進(研究費の重点配分)、大学のイノベーション拠点化(国公私立の枠を超えた大学の連携や統合・機能分担に係る改革)といった、個別具体的な改革方策がやや羅列的に示されています。
 これらについては、今後の高等教育の将来構想を審議している中教審の部会でも、「今後の高等教育の将来像の提示に向けた論点整理」(平成29年12月28日付)として、同様の内容が盛り込まれています。
 高等教育の将来構想に関連して、もう一つ重要な報告が上記パッケージと同日に公表されています。「地方における若者の修学・就業の促進に向けて-地方創生に資する大学改革-(地方大学の振興及び若者雇用に関する有識者会議最終報告 座長代理 増田寛也)」です。
 この報告では、「地域の中での地方大学の役割・位置づけを明確化し、地域の産業構造・就業動向を踏まえた産学官連携を強力に推進する」ことが謳われ、大学の機能分化の推進や「大学が自ら変われるようにするガバナンスを強化すること」、大学間連携による新学部・学科の設置なども課題として挙げられており、従来とは次元・スケールの異なる新たなスキームづくりが提起されています。
 地方(地域)創生への大学のより深いかかわりという点では、自治体が設置している公立大学においては、いわばそのミッションに直結するものであり、昨年春、発足した本学の地域未来創造センター、リエゾンオフィスの活動が、益々その重要性を増すことになると同時に、あらためてスタートを切った将来構想検討の中では、この経済社会の「革命的」変化に主体的に対応し得る改革軸が不可欠であり、新生府立大学の姿も「革命的であること」が求められると比喩的に言うことができます。
 高等教育の将来構想・大学改革には、こうした「生産性革命」に呼応する産学官連携の異次元の強化と、地方(地域)創生における地域の産業振興への大学の深いコミットというふたつの大きな力が働いているわけですが、もう一つ固有の力・動きがあります。
 それは、既にこの数年強力に進められてきたグローバル化の中での日本の大学の国際競争力の強化という方向をもった力です。高大接続システム改革における大学教育改革、入試改革も、先に触れたような将来に向けた社会の大きな変化を前提にしており、この3番目の力は、中教審大学分科会将来構想部会での議論にも反映されています。

 ここで、本学の昨年春以降の主な新しい取り組みを振り返っておきたいと思います。
 重点プロジェクトである和食文化の研究・教育では、学会設立に向けた取組など京都和食文化研究センターの研究活動が一層充実し、新学科については、届け出による開設の目処が立ち、志願者や卒業後の就職・進路などに関するデータ収集と分析、カリキュラムの構築など内容の準備が進んできました。学会については、本年2月の設立記念行事の企画も固まってきています。
 研究全般では、年度当初の地域連携センターと京都政策研究センターの機能統合による、京都地域未来創造センター及びリエゾンオフィスの設置があります。特に、リエゾン機能の強化は、本学のシーズの発掘・育成・発信、外部資金獲得の支援などを通じた研究支援体制強化として大きな意味を持つものです。
 教学の面では、高大接続システム改革の一環としての大学教育改革において、学修の質にかかわるGPA、CAP制の導入準備、特色ある入学者選抜についての具体的検討、留学生の受け入れ・送り出しの支援を含む国際交流活動の充実、学生の自主活動支援制度の開始など、学修の質保証とあわせて、学生生活の充実に向けた取り組みが進みました。
 施設面では、図書館の移転・開館、文学部の移転が完了し、真新しい環境の下で活動が開始されています。引き続き、施設の計画的な整備に向けて必要な検討作業を具体的に進めてまいりたいと思います。
また、各種事務手続きの見直しをはじめ、教員と職員の協働(コラボレーション)を進める具体化としてのSD ミーティングの開催などマネジメントの改革とあわせ、現在進行中のコンプライアンスの強化などガバナンス面の改革も進みました。
さらには、京都学・歴彩館との連携事業なども含めて、2017年は大学全体のパフォーマンスが大いに高まった1年だったと言っていいかと思います。皆様のご尽力にあらためて敬意を表しますとともに、過重な業務負担とならないよう、人員の確保や業務の効率化にも努めてまいりたいと思います。 
 今年、2018年もひきつづき、大学を取り巻く環境の変化への対応を進めつつ、将来構想にかかわる創造的な議論に、全学の知恵と力を結集していきたいと思います。

 ここまで、経済社会の今後と大学に焦点をあわせてお話してきましたが、少し視野を広げて、世界の動きも見ておきましょう。
 この数年日本人のノーベル賞受賞が続いていましたが、昨年は、核兵器禁止条約を求める国際世論を高めるために、メディアやネットを使ったキャンペーンを展開してきた「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が平和賞を受賞し、広島での被爆体験を証言してきたカナダ在住のサーロー節子さんは、受賞スピーチで「毎日、毎秒、核兵器は、私たちの愛するすべての人を危機にさらしている。この異常さをこれ以上、許してはならない」と訴え、注目を集めました。
 一方、2020年からの温暖化対策の国際ルールである「パリ協定」からのアメリカの離脱は、今後の温暖化対策の国際交渉の進展に大きく影響すると思われ、懸念されるところです。
 そして、度重なる北朝鮮によるミサイル実験の強行に対する日本を含む各国の対応の行方、エルサレムをイスラエルの首都と認定したトランプ米大統領の発言による中東の不安定化など、心配な動きが少なくない情勢です。中国の一帯一路政策も一国の範囲にとどまらない注目される動向です。
 国内では、新設大学をめぐる種々の疑惑が大きな話題となったことは、記憶に新しいところですが、沖縄の米軍基地問題も含め、安全保障をめぐってホットな議論が交わされており、軍事研究をめぐっては、学術の世界・大学との関係も鋭く問われる状況となっています。大学が、自律的な学術機関としてのその役割と責任において、しっかりした判断を示していくことが求められています。
 冒頭で触れましたように、2030,2040年の経済社会をどのように展望して、当面する諸改革を進めていくのか、大学の在り方にも関わる緊迫した情勢で迎えた2018年です。

 本日は、午前10時から府庁にて、知事の年頭あいさつがありました。ご承知のように、山田知事は、すでに今期限りでの引退を表明されていますが、今までと変わらず、新しい府政運営の方向性について、熱く語っておられました。
 種々の取組が結実した昨年を振り返りつつ、未来を切り開く鍵は、新しい地域づくりの環境・土台を基に、幅広く「共生社会」の実現を目指してくことにあり、明治維新150年、京都府政150年を迎える今年、常に先進的な取組を続けてきた先人たちの姿勢を受け継いで、新しい人づくりと文化づくりによって京都の生き方が一層魅力あるものになるよう、全力をあげなければならないと強調されました。


 結びに、日頃の皆様のご尽力にあらためて敬意を表しますとともに、今年もどうかお身体に気をつけられて、それぞれのお力を存分に発揮していただきますようお願いして、新年の挨拶・メッセージとさせていただきます。今年1年、どうかよろしくお願いいたします。

 


  (※)労働政策研究・研修機構が2012年に公表した「職務構造に関する研究」で分類している、日本国内の601の職業に関する定量分析データを用いて、オズボーン准教授が米国および英国を対象に実施した分析と同様の手法で行い、その結果をNRIがまとめたもの。 


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