ページの先頭です

乳酸菌の免疫刺激メカニズムの解明 ~乳酸菌の一本鎖RNAは免疫を発動する主要成分~

[2015年6月30日]

乳酸菌の免疫刺激メカニズムの解明 ~乳酸菌の一本鎖RNAは免疫を発動する主要成分~

 生命環境科学研究科動物機能学研究室 井上 亮 講師、牛田 一成 教授らとコンビ株式会社【代表取締役社長 五嶋 啓伸】ファンクショナルフーズ事業部は、共同で乳酸菌の免疫刺激メカニズムの一端を解明し、米国で出版されているオンライン版の学術誌「PLOS ONE」(プロスワン)http://www.plosone.org/で6月17日(米国時間)に公開されました。さらに本研究に関連する特許「特許第5690270号」、「Patent No.:US 8765706 B2」も取得しました。


 乳酸菌はヒトの腸内に常在しているだけでなく、ヨーグルトや漬物などの発酵食品、サプリメントとして摂取され人々の健康維持・増進に関わっています。特に免疫増強に関する報告は多く、様々な免疫疾患への予防・治療効果が期待されています。

 我々は乳酸菌の免疫増強が菌体そのものにあると考え、殺菌した乳酸菌(菌体成分)に着目し、2011年にマウスでは乳酸菌の核酸が免疫に関与していることを報告しました※1。本研究は、ヒトの免疫細胞を用いることで、ヒトに対する免疫刺激における乳酸菌の核酸の寄与、そして核酸の中でもどの分子が主要な成分であるか検証しました。
 その結果、乳酸菌の核酸はヒトでも免疫刺激に深く関係していること、核酸の中でもRNA特に「一本鎖RNA」が主要な成分であることがわかり、さらにヒトの免疫細胞が乳酸菌の一本鎖RNAを認識する受容体に関する知見も得ることができました。
 この結果は、乳酸菌・免疫という研究分野において大変意義のある成果であり、今後もさらに研究を発展させ乳酸菌と免疫の解明に繋げていければと考えています。

【研究の概要】

 コンビが独自に分離した乳酸菌(Enterococcus faecalis EC-12株)と代表的な乳酸桿菌(Lactobacillus gasseri JCM5344)、ビフィズス菌(Bifidobacterium breve JCM1192)の、 DNAまたはRNA※2を分解し、ヒト免疫細胞と共培養した。結果、すべての乳酸菌で「一本鎖RNA」を分解した時に細胞から産生される免疫物質(インターロイキン12※3)の顕著な減少が認められた(図1)。

図1 各乳酸菌のRNAおよびDNAを分解した時のインターロイキン12の産生量

 この結果から乳酸菌内にある「一本鎖RNA」が乳酸菌の免疫刺激メカニズムの一端を担う主要な成分であることがわかりました。
 さらに、E.faecalis EC-12株をモデル株として詳細なメカニズムを解析した結果、23S、16S rRNA※4が免疫刺激における主要な成分であり、ヒト免疫細胞のトル様受容体8※5を刺激することで免疫システムを活性化していることも解明しました。
当該論文掲載URL:http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0129806


※1:FEMS Immunol Med Microbiol. 2011 Feb;61(1):94-102.
※2:DNA主に核の中で情報の蓄積・保存を担い、RNAはその情報からタンパク質を作るときの仲介役とはして働く。
※3:免疫細胞から分泌されるタンパク質でT細胞の増殖・分化に関わる。
※4:リボソームを構成するRNAであり、RNAとしては生体内でもっとも大量に存在している。
※5:外敵の侵入を感知する受容体。トル様受容体8は一本鎖RNAを認識すると言われている。

【連絡・問合せ先】
京都府立大学大学院生命環境科学研究科
応用生命科学専攻 動物機能学研究室   講師 井上 亮     電話 075-703-5134


乳酸菌の免疫刺激メカニズムの解明 ~乳酸菌の一本鎖RNAは免疫を発動する主要成分~への別ルート

ページの先頭へ戻る

Copyright (C) Kyoto Prefectural University All Rights Reserved.