国際学術誌「Biology Letters」に掲載されました(卵の向きが生死を決める)
卵の向きが生死を決める
―葉に潜る昆虫の新たな死因を発見―
概要
京都大学農学研究科の近藤陽香 修士課程学生(研究当時)、小野肇 准教授(研究当時、現:東海大学教授)、京都府立大学の大島一正 教授らの研究グループは、葉の内部に潜り込んで育つ「クルミホソガ」において、雌が卵を産む際の「背腹軸(注1)の向き」が、次世代の生存に重要であることを明らかにしました。本種は孵化時に卵の殻を底から破って葉の内部へ侵入しますが、背腹が反転した(上下逆さまの)卵から孵化した幼虫は葉に侵入できずに死亡することを発見しました。さらに、卵の移植法を独自に開発し、反転した卵の向きを正常に戻すとその幼虫は侵入に成功し、正常な卵を反転させると侵入できなくなることを証明しました。この「背腹軸の反転」は野外でも確認されました。さらに、産卵させる植物種が異なると、卵の反転率も異なることがわかりました。これらの結果は、卵の配置という微細なスケールでの行動適応が潜葉性昆虫(注2)の生存に重要であること、さらに寄主植物の違いが産卵の正確性に影響することを示しています。
本研究成果は、2026年6月24日午前0時5分(英国夏時間)に英国の国際学術誌「Biology Letters」にオンライン掲載されました。
本研究成果は、2026年6月24日午前0時5分(英国夏時間)に英国の国際学術誌「Biology Letters」にオンライン掲載されました。

クルミホソガの孵化と葉内への侵入プロセスの模式図。正常な向きの卵からは幼虫が直接葉の中に穿孔する(上図)が、背腹が反転した卵では頭部が外側に飛び出してしまい、侵入できずに死亡する(下図)。図の作成者:近藤陽香
詳しくは添付のプレスリリースをご覧ください。
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用語解説
注1.
背腹軸(はいふくじく):生物の体における「背側」と「腹側」を結ぶ軸。昆虫の卵の背腹は、通常は卵が形成される卵巣の中で決定される。
注2.
潜葉性昆虫(せんようせいこんちゅう):幼虫が植物の葉の内部に潜り込み、葉の組織を内部から食べ進む昆虫の総称であり、鱗翅目(チョウ目)以外にも膜翅目(ハチ目)、鞘翅目(コウチュウ目)、双翅目(ハエ目)の昆虫が含まれる。食べ進んだ痕が絵や文字のように見えることから「絵かき虫」や「字かき虫」との愛称でも呼ばれる。
背腹軸(はいふくじく):生物の体における「背側」と「腹側」を結ぶ軸。昆虫の卵の背腹は、通常は卵が形成される卵巣の中で決定される。
注2.
潜葉性昆虫(せんようせいこんちゅう):幼虫が植物の葉の内部に潜り込み、葉の組織を内部から食べ進む昆虫の総称であり、鱗翅目(チョウ目)以外にも膜翅目(ハチ目)、鞘翅目(コウチュウ目)、双翅目(ハエ目)の昆虫が含まれる。食べ進んだ痕が絵や文字のように見えることから「絵かき虫」や「字かき虫」との愛称でも呼ばれる。
研究者のコメント
「クルミホソガは、とてもかわいいです。かわいがりすぎて、生存率を少しでも上げるために観察しまくっていたら、思いがけない発見につながりました。研究者や、研究の動機の多様性は、このように面白い結果に結びつくこともあるようです。気になったことを突き詰める姿勢はこれからも大事にしていきたいです。」(近藤陽香)
【お問い合わせ先】
<研究に関するお問い合わせ先>
小野 肇(おの はじめ)
京都大学 農学研究科応用生命科学専攻・准教授(現:東海大学工学部生物工学科・教授)
TEL:080-5357-8980
E-mail:HajimeOno@tokai.ac.jp
<報道に関するお問い合わせ先>
京都大学 広報室 国際広報班
TEL:075-753-5729
FAX:075-753-2094
E-mail:comms@mail2.adm.kyoto-u.ac.jp
京都府立大学 企画・地域連携課
TEL:075-703-5147
FAX:075-703-4979
E-mail:kikaku@kpu.ac.jp
小野 肇(おの はじめ)
京都大学 農学研究科応用生命科学専攻・准教授(現:東海大学工学部生物工学科・教授)
TEL:080-5357-8980
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