日本固有の新種の発表と,北半球の近縁種に共通する食性進化パターンの解明(理工情報学科,昆虫情報学研究室)
次は何食べる?
〜海を越えても共通だった小型蛾類の食性進化パターン〜
北海道大学大学院農学院博士後期課程1年の澤田昌恭氏(昆虫体系学研究室)、同大学院農学研究院の吉澤和徳教授(昆虫体系学研究室)、京都府立大学大学院生命環境科学研究科および理工情報学部の大島一正教授(昆虫情報学研究室)らの研究グループは、新種トチニセキンホソガを含む近縁な蛾類間で繰り返し起きた餌植物利用パターンの進化を明らかにしました。
ニセキンホソガ属蛾類の幼虫は種ごとに異なる餌植物を利用しますが、カエデを利用する種およびトチノキを利用する種の存在が北半球から複数知られていました。本研究では、それらの種の詳細な系統関係を初めて明らかにし、ニセキンホソガ属の進化過程で餌植物がどのように変更されてきたかを検討しました。その結果、各トチノキ利用種はそれぞれ異なるカエデ利用種と最も近縁なことが判明し、ニセキンホソガ属において餌植物をカエデからトチノキ、あるいはその逆順で変更する進化が少なくとも3回起きたことが分かりました。さらに,そのような餌植物の進化的変化は、北アメリカで1回、ヨーロッパ~アジアで2回生じたことが示唆されました。また、日本のトチノキを利用するトチニセキンホソガCameraria serena Sawada & Ohshimaを新種として発表しました(和名新称)。本種の集団遺伝学的解析の結果、植物を食べる昆虫としては珍しく、本種が餌植物(トチノキ)と全く異なる地理的・遺伝的構造を持つことが明らかになりました。
これらの結果は、植食性昆虫の餌植物の変更が無秩序ではなく一定の傾向下で起こることを意味し、進化の法則性という究極的な問いの解明に繋がるものです。また、種間の進化的関係と種内の集団構造の両方を検討することによって、植食性昆虫の複雑な進化的背景の理解がより深まることを示しています。
なお、本研究成果は、日本時間2025年12月1日(月)午後7時公開のBiological Journal of the Linnean Society誌(進化生物学を専門するイギリスの学術誌)オンライン版に掲載されました。
論文はこちら
詳しくは添付のプレスリリースをご覧ください。
詳しくは添付のプレスリリースをご覧ください。
PDFファイルをご覧になるためには、AdobeReader® が必要です。パソコンにインストールされていない方は右のアイコンをクリックしてダウンロードしてください。
【お問い合わせ先】
<研究内容について>
京都府立大学大学院生命環境科学研究科 教授 大島一正
E-mail:issei@kpu.ac.jp
TEL:075-703-5179 FAX:075-703-5179
<報道について>
京都府立大学 企画・地域連携課
E-mail:kikaku@kpu.ac.jp
TEL:075-703-5147 FAX:075-703-4979
京都府立大学大学院生命環境科学研究科 教授 大島一正
E-mail:issei@kpu.ac.jp
TEL:075-703-5179 FAX:075-703-5179
<報道について>
京都府立大学 企画・地域連携課
E-mail:kikaku@kpu.ac.jp
TEL:075-703-5147 FAX:075-703-4979