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【学長メッセージ】2019年 年頭にあたって

[2019年1月10日]

2019年 年頭にあたって

2019 年頭メッセージ

 

 明けまして、おめでとうございます。

 

はじめに  

 さて、年末から続く寒波で大雪に見舞われる地域もある中、新しい年2019年が幕を開けました。本日午前中、府庁では西脇知事のご挨拶、法人本部では金田理事長のご挨拶がありました。

 西脇知事は、就任の際に掲げられた3つの基本、「現場主義、前例にとらわれない、多様な連携を強める」を踏まえ、少子高齢化の進行の下、子育て環境日本一を目指す総合的な取組を進めるとともに、災害復旧・防災など府民生活の安全安心、観光を核とした産業の府域全体での振興など様々な分野で、この3つの基本に則って事業を推進していく所信を示されました。そして、2019年を、オリンピックや万博開催を前に世界から日本への注目が高まる年ととらえ、「日本の文化首都・京都」の世界への発信を強調しておられました。

 金田理事長は、本年の両大学の主な課題に触れられるともに、今年が、法人第2期中期計画の最終年にあたり、計画の達成と次期計画の策定が重要な課題なることを強調されました。また、昨年末にスタートした、両大学を対象としたふるさと納税制度を活かし、国際交流、学生・若手研究者支援、種々のプロジェクト推進に、法人として注力していく所信を述べられていました。

 

 私からは、全ての課題を網羅することはできませんが、いくつかの話題を取り上げて、ご挨拶を兼ねてお話させていただきたいと思います。

 昨年を振り返って最も印象に強く残っているのは、海外の大学訪問です。創立80周年記念式典に招待をいただいて訪問した雲南農業大学とは、20年近い交流の蓄積がありますが、主催者やゲストが登壇する際に流れる映画スタウォーズ冒頭の曲はともかく、学生パフォーマンスのパワーには圧倒されるものがありました。

 また、医大、工繊大、薬大との4大学連携の一環で訪れたイタリアパヴィア大学は、ヨーロッパ最古の中世大学群の一角を占める大学ですが、歴史を感じさせる重厚な建物で交流シンポジウムが開催され、今後の交流事業についての協議では、先方の積極的な提起をめぐって緊張感のあるやりとりが交わされました。

 両大学を通じて、研究交流とあわせて学生交流への強い意欲が示されていますが、域内の学生の相互交流で先行するユーロ圏の動き、高等教育の充実強化を国家戦略として強力に推進している中国の動きなどの意味するところを正確に読み取り、本学における今後の国際化の取り組みに生かしていくことが求められていると感じました。

大学改革のこれまでとこれから

 この数年間の大学改革の波の中で新たに始まった種々の取組に加えて、昨年来、将来構想や高大接続システム改革に伴い、特に入試改革の検討など、皆様には多大なご尽力をいただいていることに、何よりもまず、感謝申し上げたいと思います。  

 本学独自の取組としては、和食文化学科の開設が本年4月に確定し、和食文化学会発足や和食文化研究センターにおける研究活動の展開とその発信など、関連する取組も順調に進んできています。

 一方で、将来構想とも連動する施設整備については、京都府への予算要求を軸に、様々に手を尽くしているところですが、未だ確かな見通しを得るにはいたっていません。外部の意見も踏まえて進めてきたこの間の検討の内容を踏まえ、具体的な整備計画の策定に向けて、北山文化環境ゾーン全体の今後の整備見通しも視野に、引き続き法人・大学一体となって、京都府への要望、関係部局との協議などに精力的に取り組んでまいりたいと思いますので、ご理解とご協力をよろしくおねがいいたします。

 

内外情勢の特長

 さて、せっかくの新年ですので視野を広げて、内外の情勢に少し目を向けてみたいと思います。

 今年もマスコミで大きく取り上げられている、AIやSDGsといった話題はひとまず置いて、ここでは、アジア諸国をめぐる動きに注目しておきたいと思います。昨年は、朝鮮半島を舞台に南北の首脳会談が行われ、史上初の米朝首脳会談も実現しました。今後の国際関係の鍵を握る米中がそれぞれ、2国間主従関係の確立に動く中、日本は文字通り先の見えない状況に置かれているといえます。それは、経済動向も同様で、イギリスのEU離脱が3ヶ月後に迫り、TPPからのアメリカの離脱など主要国による貿易制限措置の発動等、世界経済のリスクが強く意識される状況となっています。

 一方、国内では、昨年もノーベル賞受賞の話題が関心を集めました。受賞者の発信もあって、大学における基礎研究の重要性についての議論も活発になっています。これは、経済成長のためのイノベーションを促進するための大学における研究への期待、というよりプレッシャーが強くなり、産業界と大学との関係が変容しつつある中では、重要なテーマです。現在2020年度からの実施に向けて準備が進められているいわゆる「高等教育無償化」制度については、対象大学の要件として「実務家教員」の授業確保が必須とされている点に、大学側から疑問視する声が多くあがっています。この制度がそもそも2017年末の閣議決定「新しい経済政策パッケージ」に発している点に留意しておく必要があります。とはいえ、本学志願者の制度利用に制約が生じることは避けなければなりませんので、既にシラバスの記載など必要な対応を教務部中心に進めていただいており、先生方の協力もいただいているところです。

大学教育改革の進展

 入試改革については、アドミッションポリシーに基づいて、多様な評価指標を活用して、多様な学生を迎え、大学での学修の活性化を図るという理念はおおむね受け入れられつつも、新しい共通テストの内容や英語の4技能評価をめぐっては、様々な疑問や懸念が示されつつ、徐々に各大学の具体的な対応が明らかになりつつあるところです。本学でも、今月下旬をめどに最終的な取りまとめ、公表の予定で準備を進めています。

 一昨年末に中間まとめが出されていた、中央教育審議会の将来構想部会の審議は、昨年秋に終結し、「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」と題して、11月に答申が出されていることは、基本構想委員会などを通じてお知らせしている通りです。

 答申では、「予測不可能な時代に生きる人材像」とあわせて、「学修者本位の教育上の転換」が謳われ、「個々の教員の教育手法や研究を中心にシステムが構築されるのではなく、学修者の『主体的な学び』の質を高めるシステムを構築していくためには、高等教育機関内のガバナンスも組織や教員を中心とするのではなく、学内外の資源を共有化し、連携を進め、学修者にとっての高等教育機関としての在り方に転換していく必要がある」と説明されており、求められている転換の大きさ、従来の発想との違いに留意する必要があります。

 研究を基盤とした教育の在り方と、「学習者本位」「主体的な学び」とを、対立させるのではなく、これからの社会が求める人材像に照らしつつ、研究に根差したいわば底の深い主体的な学びの実現を目指していくことが肝要と考えます。今日問題となっている社会と教育との関係は、日本における人口減少、経済規模の縮小への対応が差し迫った政策課題となり、日米中の地政学的配置が大きく変動しようとしている時代状況の下で、従来とは異なる次元に置かれていることを注視しておく必要があります。

 

2019年 府大将来構想の具体化に向けて

 本学にとって2018年は、4月の新知事誕生、6月の府職員人事異動を挟み、17年に新たにスタートした取り組みも含めて、全体として具体的な進展が見られ、成果を着実に積み重ねた1年と言えると思います。そのことは、2017年度の法人年度計画に対する府評価委員会の評価や2018年度計画の進捗状況にも表れています。

 2017年末にスタートした、将来構想の新たな体制での検討作業においても、国の未来投資戦略の分析、本学の教員リソース調査など、タスクチームにおける作業を進め、現状と課題の共有を図りつつ、昨年12月の基本構想委員会において、将来構想の基本方向・柱の確認を行ったところです。今後は、基本方向・柱の具体化の作業を進め、来年度当初には、素案の提示を予定しています。

 教学改革については、将来構想の具体化を待つまでもなく、高大接続システム改革の一環としての大学教育改革の取組として、3ポリシーの充実、さらには、学修の質向上を目的としたCAP制、GPAの導入を図ったところです。新しい制度については、外部評価も含め、今後その検証に努めていきます。入試改革については、すでに述べたように諸課題への対応がほぼ完了しています。

 

教職の協働、さらに学生参画による大学づくり 

 これまで本学で「研修」として行われてきた職務や大学運営における諸課題に関する学習では、人権や学生保健に関する内容の他、研究倫理やコンプライアンスなど新たに設けられたものもありました。さらに、教員を主体としたFD活動については、既に20年以上の経験を重ね、近年では、法的に義務付けられたこともあって、教職一体となったSD研修を特別な設定で行ってきました。今年度は、6月にデータサイエンス、大学における今後の情報教育をめぐっての講演会が「SDミーティング」として行われ、年度末3月には、学修の質にかかわって、「CAP制、GPAの導入に伴う単位の実質化について」をテーマに、授業外学修時間の調査を踏まえた内容で準備されています。年度末の教学に関する研修はこれまでFD研究集会の位置づけでしたが、今回はSDにも位置づけ、教職が共に参加する形としています。

 今後も、FD、SDを一体のものとしてとらえ、教職協働、さらには学生の参画による大学づくりの取組を強めていきたいと思います。

 

おわりに

 最後に、知事の年頭あいさつにもありましたが、今日の地方自治体が直面している諸課題、地方創生の進捗の今後の見通しと、公立大学をめぐる情勢・課題についてひとこと触れておきたいと思います。

 中教審の答申にも盛り込まれていた、地方における国公私立大学の連携・統合の動きが具体化しつつありますが、本学がその理念に掲げる「京都府民に支えられる府民のための大学」という方向性に立って、本学固有の課題にとり組んでいく基本は変わりません。同時に、本年度府と共に申請し残念ながら不採択となった「地方大学・地域産業創生交付金事業」については、既に始まっている次年度の募集に向けた対応を進めていますが、今後とも、大学の教育・研究推進における自律・自治と、様々な地域課題をとらえた自治体・産業界等との連携・共同との統一的推進に、地域未来創造センタ―を中心に取り組んでまいりたいと思います。

 繰り返しになりますが、本年4月からは、いよいよ第2期中期計画期間の最終年度を迎え、計画の完遂と、次期計画の策定作業を並行して進めていくことになります。種々の事業相互の関係をしっかり押さえながら、知恵と力を集めて、この局面を乗り越えていきたいと思います。今年1年どうかよろしくお願いいたします。

 


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