本学精神保健福祉士養成課程では、卒業生(現在33名)を対象として、年間6回の教育セミナーを実施しています。
今回は、卒業後に精神科病院で勤務して3年目の中野綾さん(独立行政法人 国立病院機構 舞鶴医療センター)が、5月に参加したイタリア(ボローニア)の精神科医療に関するスタディツアーでの学びについて、報告してくれました。
イタリアは、公立精神科病院への新たな入院を禁止した法180号(通称バザーリア法)の制定などからもわかるように、治療プロセスにおける入院治療を最小限にとどめ、精神疾患のある方を地域でケアする取り組みが進んでいる国として知られています。
当日は、ボローニアの地域ケア関連施設や支援プログラム等での視察内容について、ひとつひとつ詳しく紹介がありました。触法精神障害者の生活施設や、一般住民向けに制作され毎週1回放送される30分の番組「サイコラジオ」の取り組みなど、興味深い内容が続き、参加者との質疑も活発になされました。
報告の最後に中野さんが今回の視察での学びとして強調していた「対話の重要性」については、知識として理解していることと現実の場面での実践のギャップということも含めて考えさせられることがおおかったようで、日頃の実践を振り返るキーワードとして共有されていたように思います。 これからも、卒業生、在学生を問わず、どんどん海外に出て見聞を広げ、多くの気づきを得て、それを仲間と分かち合いながら、成長していってくれることを期待しています。【第14回ソーシャルワーク実践研究会】
日時:7月15日(日)
会場:本学 稲盛記念会館 会議室
内容:13:30〜14:30 卒業生クローズドミーティング 14:45〜17:00 講演:「バザーリア法制定40周年ボローニャスタディツアー報告:イタリアから学んだこと」
中野 綾さん(精神保健福祉士)独立行政法人 国立病院機構 舞鶴医療センター
参加者:16名(卒業生8名 在学生7名 教員1名)
【精神保健福祉士とは? 】
1997年に誕生した精神保健福祉領域のソーシャルワーカーの国家資格です。国内では、1940年代後半より精神科病院等に配置され、資格制定以前はPSW(Psychiatric Social Worker)と呼ばれていました。
現在、国内ではソーシャルワーカーの国家資格には、主に精神障害のある方の支援を専門とする「精神保健福祉士」と、それ以外の領域の問題を幅広く扱う「社会福祉士」があります。資格の別にかかわらず、いずれもが、「ソーシャルワーク」を実践する専門職である「ソーシャルワーカー」です。
本学では、2008年の精神保健福祉士養成課程開設以降、卒業生のほぼ全員が国家資格を取得して、保健・医療・福祉の現場で活躍しています。
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/nation/psw.html (厚生労働省のHP)
http://ifsw.org(International Federation of Social Work=国際ソーシャルワーカー連盟のHP)
100枚近いスライドを使った充実した報告でした。
2回生から4回生まで在学生も参加していました。
報告後、2グループに分かれての分かち合い。