歴史学科では、京丹後市からの提案をうけ、大宮町周枳(すき)に所在する大宮売(おおみやめ)神社所蔵資料の整理と公開を進めてきました。2014年に市制10周年記念事業の一部として大宮売神社の展示をリニューアルしたのをはじめとし、2015年からACTRの事業として資料の記録・整理・研究を本格的に開始しました。今年度は資料の整理と研究を継続するだけでなく、研究成果を市民に還元するイベントや報告会を計画しています。今回のイベントは、京丹後の将来をになう小学生を対象に、歴史学科で考古学を専攻する院生と学生が企画した体験学習プログラムです。
イベントには、京丹後市内の各所より、小学校低学年から高学年までの児童11名(京丹後市内に帰省先をもつ児童を含む)が参加しました。おもな教材とした大宮売神社遺跡出土のミニチュア土器(小型の手づくね土器)は古墳時代の祭祀遺物で、最初に学生らが古墳やミニチュア土器について簡単に説明したあと、実物の観察をふまえて、土器の製作体験をおこないました。学生らは、手づくりした古墳時代ふうの衣装を身につけたり、資料館敷地内の竪穴住居を活用するなど、さまざまな工夫をしながら、歴史を学んでいない児童にも親しみやすい体験学習プログラムを準備し、好評のうちに2時間のイベントを終えました。
「ミニチュア土器をつくってみよう」当日のようす
今回のイベントでは京丹後市の全域を対象としましたが、今後、大宮売神社周辺地域での成果報告会やイベントを実施することで、地域のなかで伝えられてきた文化遺産のすぐれた価値を将来の世代に継承していくお手伝いができればと考えています。