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第2回地域力研究会開催概要(平成22年6月12日開催)

[2010年7月21日]

京都府・京都府立大学「京都政策研究センター」主催 第2回地域力再生活動事例研究会

 <開催日時>      平成22年6月12日(土)午後1時から午後4時30分

 <開催場所>      京都府中丹広域振興局福知山総合庁舎 1階講堂

 <参加者>        京都府内NPO等活動団体、市町村職員、府職員、府大職員、学生等

 <プログラム>

  主催者挨拶

  事例研究報告          

  1)宮津市エコツーリズム実行委員会(宮津市) 13:05~13:40

   「エコツーリズム推進事業」

  2)宮津メディアセンター(宮津市)      13:45~14:20

   「住民発信型メディア構築とメディア活用人材育成による地域活性化プロジェクト」

  3)和木自治会(綾部市)           14:25~14:50

   「人口ピラミッド再生事業」

  4)郷の家(南丹市)             14:55~15:30

   「地域の人と人との関係復興と村町を活気づける」

  5)美山里山舎(南丹市)           15:35~16:10

   「里山暮らし塾」

● 報告概要

1)宮津市エコツーリズム実行委員会「エコツーリズム推進事業」宮津市

○活動状況の概要

 宮津市は、年間来訪者が約200万人を超える天橋立という一大観光資源を有する市である。このような有力な観光資源を抱えながら、天橋立の来訪者のうちの約20%しか宮津市内には宿泊せず、いわゆる通過型観光となっている現状がある。したがって、通過型観光から滞在型観光への転換を図り、域内消費を高めることが域内経済の活性化のためには重要となる。この目的を達成するための方法はさまざまあるが、同委員会は文化の継承とエコツーリズムによる地域活性化という視点からこれらの取り組みを行っている。具体的には、天橋立と海・里・山という地域資源を活用した、持続可能なエコツーリズムという視点から、過疎化や高齢化により地域の衰退が進む農山漁村の地域資源の保全と活用し、観光振興と地域振興を同時達成しようという取り組みである。そのため、エコツアーガイドの養成、エコツアーガイドブックの作製、昔ながらのこんにゃく作り体験などの体験型プログラム、特産品・土産物のメニュー作りなどのプログラムが、同委員会を中心に行われている。

○事例調査担当者からのコメント

 全体的な評価として、エコツーリズムを目指し、住民が主人公となった地域振興を進め、その結果、観光にもつながるとの姿勢で、その資源探し、住民の意識づくり、エコツーリズムを支えるガイド養成、特産品作りの始動などが行われつつあるといえる。

 しかしながら、本事業の課題として、持続可能な取り組みとなるためには、内発的な地域づくり力の向上が必要であると思われる。持続可能な取り組みの前提として、高齢化率が高くなっているという現状(高齢化率60%、人口135人中子供は2人)の中で、人的にも持続可能な方向性を探らないといけない。そのためには、域内だけではなく域外とのネットワークをいかに構築し、拡張させていくのかが肝要である。またそのための行政の支援姿勢ならびに支援のあり方が検討される必要がある。

○主な質疑応答

Q1:エコツアーガイドの養成とあるが、地元のガイドはどのぐらいの割合か。

A1:地元の人は半分程度で残りは周辺地方公共団体の住民である。しかし、お互い丹後世屋内山の保全地域を通じて密接な関係にあるため、地域力を活かしたものとしては、地元の力の掘り起こしになっている。

Q2:地元の特産品開発の状況についてはどうか。

A2:現在、魚や野菜などを直売する「公設市場」を設置するなど具体的に進展中である。

 

2)宮津市メディアセンター 「住民発信型メディア構築とメディア活用人材育成による地域活性化プロジェクト」等 宮津市

○活動状況の概要

 同取り組みは、インターネットを用いた地域情報の動画配信を主な事業としている。現在300タイトルのコンテンツがあり、3日に1本の割合で新たなコンテンツが配信されている。このように動画を作成し、それをインターネット上で配信するだけではなく、地元の北近畿タンゴ鉄道振興のためのDVDを作成したり、平成22年3月6日、7日の両日に第1回丹後映像フェスティバルを開催したりと、メディア動画情報コンテンツを核とした取り組みを進展させている。

○事例調査担当者からのコメント

 同取り組みの意義は、宮津の現況をリアルタイムで動画と音声で感じることができる点にある。また、映像コンテンツ作成プロセスにおいて、市民の自発的な参加が促されていたり、また宮津市の公共交通機関の1つである北近畿タンゴ鉄道の各駅に焦点を当てたユニークなDVDを作成するなど、地元発信のメディアとしては一定の成果を上げているといえる。しかし、最大の課題が資金問題である。動画コンテンツを維持するためには相当な資金が必要である。現在までに、同コンテンツに対しては4企業から広告提供がある。今後、いかに広告出稿を増加させることができるか、などが課題となる。したがって、自立的な資金運営を促すため、また人材を集めるためにNPO設立へと取り組みを進めようとしているが、それ自体は抜本的な解決策にはならなのではないか。また、バックアップのためにはある程度の専従のスタッフも必要になるだろう。

○主な質疑応答

Q1:映像を中心とした街づくりは北海道の夕張などでも行われているが、宮津はどのような特徴を有した街づくりをしようとしているのか。

A1:宮津をロケ地にした映画やテレビドラマなどの撮影を誘致することで、宮津の知名度をあげていきたいと考えている。

Q2:もし地域力再生のプロジェクトがなければ、この取り組みはできたのか。

A2:やはり資金面での後押しが大きい。いまは資金面でいかに持続可能な形に持っていけるかが課題であると考えている。いずれにしろ、地域力再生のプロジェクトが、これらの取り組みの大きな推進力になっていることは間違いないと思う。

 

3)和木自治会 「人口ピラミッド再生事業」 綾部市

○活動状況の概要

 綾部市和木町は山林が全面積の97.8%を占め、特産の梅(和木梅)や味噌加工を中心とした農村集落である。同町自治会は戸数38戸、人口114人で構成されている。同取り組みは、同町内での人口ピラミッドを再生させることを目的としており、いかに現在の人口・年齢構成を維持し若返りさせられるかが課題となる。そのための1つの手法として、同町外からの人口流入の取り組みが行われた。その成果として、取り組み開始2年目にしていわゆるIターン者を獲得することができ、さらにそれをテコに高齢者に元気が戻り、来町者数も増加した。さらに地域の団結や互助活動が活発に行われるなど、地域全体に活気が出るなどの成果を生み出している。

○事例調査担当者からのコメント 

 同取り組みの最大の特徴は、1つの家族ごとの参加ではなく、家族を超えた老若男女を問わない個人単位の取り組みが行われている点で、それにより集落全員を巻き込んだ活動になっている。それを可能にしているのは、顔と顔が見える程度の人口規模であることが大きいだろう。それが、例えば町外の住民に向けた活動が、町内に向けた活動にも反映されるようになったり、兼業化や高齢化によって停滞しがちであった地域内での人のつながりが再生もしくは再活性化されるなど、様々な好循環を生み出している。同町は、これらの3年間の取り組みを振り返り、都市との交流を通じた田舎の再生や活性化、都市からの移住による都市住民の住める地域づくり等の将来像を描いている。

 ただし、この取り組みがどちらかといえば高齢者を中心に行われていることは1つの懸念材料である。いかに中年から若年層に継承させていくかが課題となろう。また、産業の基盤をなしている梅加工場の加工施設の改修も必要であろう。

○主な質疑応答

Q1:Iターンで現在までに3家計が同町に転居するなど成功しているが、その成功の秘訣は一体何か。

A1:住民あげて受け入れ態勢を構築するなど、人の温かさを感じられるような集落だったからではないかと思う。

Q2:外部との交流に関して、具体的にどのように行ったか。

A2:最初に同町での行事を案内する封筒を1家族に3通渡し、知人などに紹介する取り組みを行い、それを定期化、拡大化していった。住民が直接的また間接的に様々な取り組みを行った成果として現在の姿があると考える。

 

4)郷の家 「地域の人と人との関係復興と村町を活気づける」 南丹市   

○活動状況の概要

 郷の家は、南丹市日吉町に代表者が私財を提供して作られた施設である。それは、住民間の団欒の場所が徐々になくなっていく中で、囲炉裏や暖炉を囲んで地元住民同士が語らいをするという語らいの場を提供しようという代表者の想いで創設された。その後、語らいの場から趣味を興ずる場、また語らいから環境保全活動の場へとさらに展開をさせようと現在取り組みを進めているところである。しかし、運営にかかる必要資金を十分回収できておらず、大変厳しい状態に置かれているのが現状である。

○事例調査担当者からのコメント

 この郷の家の取り組みは、それ自体大変意義深いものである。また、代表者の熱意や努力を十分感じることができる。しかし、同取り組みには大きな課題が2つある。1つは資金面である。積極的に陶芸教室などを開催しているが、活動資金の多くを代表者が負担しているということで、活動の持続可能性に疑義が生じる。今後、多面的な行政側からの諸活動に対する支援が求められる。第2は、同取り組みが必ずしも地域に根付いているとはいえないことである。代表者により様々な積極的取り組みが行われているため、地域住民の活動の認知度は比較的高い方であるが、取り組みへの反応がほとんど見られないなどのケースもある。また、参加者が中高年齢の方に偏る傾向があり、必ずしも地域的な取り組みとはなっていないという現状もある。したがって、現状は地域住民を包括的に包摂するものではなく、一部住民のみを包摂しているにすぎないのが現状である。このような現状を鑑みたうえでの改善点としては、他地域(現在も園部のNPOと連携を模索している)という取り組みを行い、外部との積極的な連携を模索する必要性があろう。これらの改善により、有意義で継続性を担保した活動の展開に道が開かれるのではないかと考えられる。

○主な質疑応答

Q1:郷の家で行われる行事に参加したくても交通の便などが悪くて参加を断念しているケースが多いのではないか。

A1:確かに交通の便はよくないため、移動手段をいかに確保するかが課題である。

5)美山里山舎「里山暮らし塾」 南丹市

○活動内容の概要

 美山里山舎のある美山町はかやぶき民家の残存率がわが国一を誇る地域であるが、過疎化と高齢化が進行しているという実態がある。そこで、東京から移住された宮大工である小関氏が中心となり、茅葺民家や伝統軸組という世界に誇る建築文化、活動地域の自然環境、里山保全の必要性を発信し、訪問者増加とIターン、Uターン者増加を図ることを目的に活動をしている。具体的には、美山に古くから伝わる粽(ちまき)作り、味噌作り、モグサ作りなどの「里山暮らし塾」というセミナーを開催し、都市部より毎回多くの参加がある。さらに、伝統軸組で建築された美山ゲストハウスも完成し、滞在型体験にも対応できるようにもなっている。同取り組みの詳細は、http://satoyama-sha.com/にも掲載されている。

○事例調査担当者からのコメント 

 美山町は茅葺民家残存率が日本一であるが、過疎化と高齢化が進行している。月1回程度開催されている「里山暮らし塾」では、毎回20名程度の参加者を集めて、もちつきや味噌作り、アマゴ釣りといった体験と茅葺民家訪問、体験を行っている。ただし、住民の中には伝統的な茅葺民家訪問や体験が負担に思っているという人もいるようで、この負担感を緩和する施策をとる必要が今後あるだろう。

○小関氏のコメント 

 地域づくりは、スピード(即実行)とやる内容のセンスが必要である。意思決定や調整のための時間がかかりすぎると、事業のタイミングを逸するので、市町村等との連携は大事である。また、都市からの住民を受け入れる際に、住居の確保をいかにするかが最大の問題となる。これらの地域では古民家が空き家になったとしても、先祖代々の家であるため簡単に譲ろうとはせず、なかなか供給されないという現実がある。「里山暮らし塾」では、空き家ではなく中山間地の農地を転用して、新たに家を建てるという方式を選択したいと考えている。建てる家は伝統的なもので、家主にも建築の手助けをお願いするということをしてもらう。この背景には、Iターンで獲得した人が定住するためには、実際に汗をかいてもらうということも必要ではないかという思いがあるからである

お問い合わせ

住所:〒606-8522 京都市左京区下鴨半木町1-5
京都府立大学 公共政策学部
京都政策研究センター
TEL&FAX:075-703-5319
E-mail:kpiinfo@kpu.ac.jp

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